認知症の初期症状
認知症とは、いったん発育した脳が損傷されて、その結果として、それまでに獲得された知的能力が低下してしまった状態をいいます。
この状態について、日本では「痴呆(ちほう)」と言われていましたが、2004年に厚生労働省が、一般的な用語や行政用語としては「認知症」が適当であるとの見解を示し、「認知症」を用いることになりました。
認知症の初期症状としては、忘れてしまったことでつじつまの合わない行動をし、それを隠そうと、さらにつじつまの合わない行動をとることがあるようです。認知症の初期症状は本人も内心では、「何かおかしい」と不安な気持ちになるので、周囲の人は、とがめたりせずにお年寄りの気持ちを理解し、適切なケアを受けられるように導いてあげることが重要です。
そして、認知症初期症状に見られる特徴として、昔の記憶ははっきりしていて問題ないが、新しいことを忘れるということがあります。数日中のことを忘れることから、数分前の出来事を忘れるといった状態が見られるようになります。
また、自分がいまいる場所はどこか、いまは何時ごろかなど、自分の現在の位置づけができなくなり、自分が置かれている状況を正しく認識できなくなる特徴があります。時間の見当がつかなくなり、曜日や月などの見当が次第につかなりがちです。
そして、精神活動の知的コントロールが弱くなり、性格特徴が先鋭化することも多く、短気だった人がいっそう怒りやすくなったりすることなどがあるようです。
認知症が重度になると、思考や判断力はいっそう低下し、関心や自発性もなくなり、記憶障害も強度となり、自分の年齢や、結婚したことがあるかないかもさえわからなくなり、介助がなければ食事、排泄など身の回りのこともできなくなってしまいます。
認知症はいきなりわからなくなるわけではないので、早期発見・早期診療等の取り組みが出来るように気を付けて対処することが重要です。
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