認知症の周辺症状
認知症の症状には、中核症状(必ずみられる症状)と周辺症状(必ずみられるとは限らない症状)があります。家族などの介護者を悩ませ、医療機関受診の契機となるのは、主に周辺症状に起因する問題であると言われています。
中核症状
認知症の中核症状にはどんなものがあるのでしょうか?脳の細胞が壊れることによって直接的に起こる症状で、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下などが中核症状と呼ばれるものです。これらの症状のために、周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。いくつか例をあげると、下記のような状態があります。
- 同じことを言ったり聞いたりする。
- しまい忘れや置き忘れが目立つ。
- 直前のことを直ぐに忘れてしまう。
- 蛇口やガス栓を閉め忘れる。
- 今がいつなのか、ここはどこなのかわからなくなる。
- 寒くても薄着のまま外に出たり、真夏でもセーターを着ている。
周辺症状
全ての患者に共通に表れる中核症状に対し、周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状を周辺症状といいます。周辺症状は人によって様々であり、出たり出なかったり、発生する症状に差が生じます。また、周辺症状は、「BPSD (Behavioral and Psychorogical Symptoms of Dementia:行動・心理障害)」と英語で呼ばれることも多くあります。
認知症の周辺症状は、本人がもともと持っている性格、環境、人間関係などさまざまな要因がからみ合って、怒りっぽくなったり、不安になったり、うつ状態や妄想のような精神症状や、日常生活への適応を困難にする異常な行動ががみられたりすることがあります。具体的には下記のような項目の症状があげられます。
- 睡眠障害、昼夜逆転。
- せん妄(幻覚・妄想)。
- 抑うつ状態。
- 徘徊。
- 不安、焦燥、依存。
- 攻撃的行動、暴言、暴力。
- 異食・過食。
- 性的羞恥心の低下。
光療法は、睡眠と覚醒のリズムを整えることにより、心身全体の生体リズムを整えます。特に睡眠の質が改善されると周辺症状が全体的に改善されると言われております。周辺症状の中でも、夜間せん妄や徘徊などが改善されると、本人のQOLはもとより、介護する家族やスタッフの負担が大幅に軽減されます。